GWも終わったところでついに真打ちの登場です。コルセア。スニーカーフリークにはご存知の曰く付きの名品。もともとコルテツという名前でオニツカがリリースしたのにナイキが同じようなモデルを同名のナイキブランドでアメリカで販売開始>オニツカを訴えて裁判>オニツカ敗訴>1976年にコルセアと改名しての再リリース。
先代の鬼塚喜八郎氏はこれについてはついに語らないまま亡くなってしまったのですが、その想いをどこかのインタヴューで語って欲しかったなぁ。青少年の育成にはスポーツが一番、その助けになりたいと創業したオニツカと、どうみても商売っ気溢れるナイキとじゃあいずれその方向性で衝突するのがわかっていたでしょうが、裁判に持ってくるとはまさか思わなかったでしょうに。寝耳に水というか。
喜八郎氏は事ある毎に社員に「何か良いネーミングが思いついたらすぐ登録商標しろ」と口にしていたのはこの苦い経験があるからでしょうか。
そんな曰く付きの物件を2013年にまさかのリイシュー。発売は2013年1月。日本では¥15.750で、ヨーロッパでは€115前後でのリリース。このレザーモデルだけワールドワイドで800足限定扱い。同時に数量限定ではないものの、ナイロンアッパーバージョンでもヴィンテージカテゴリーで3色リリースされています。
ボクはまずナイロンアッパーの方が気に入ったのでそちらを購入、その後このレザーの物件を手に入れてます。
ジョギングシューズのひな形を作ったモデルだけあってナイキ共々その想いは強いのか、ナイキのコルテツは未だにアップデートを重ねつつコンスタントにリリースされてるし、オニツカの方も2013年に入ってヴィンテージカテゴリーと”ヴィンテージ加工のしていない”モデルを数種類リリース。後者はアメリカ、ヨーロッパなどでヴィンテージラインと共存しつつ販売されてます。
ちなみに余談ですが書籍「オニツカタイガー物語」(2005年刊)によるとコルセア、2005年に一度リイシューされてるんですね。
知らなかった。
なんでも「コルセア」がネーミングされてから30周年を記念して2005年6月に「タイガーコルセア」、2005年7月に全世界3000足限定の「タイガーコルセア・メモリアル」が発売と書かれています。
残念ながらカラー写真ではないのでディテールまで汲み取れませんが、メモリアルの写真を見る限り、2013年ものとまた仕様が違うところがいくつか。当然ヴィンテージ加工はしていないのでまっさらっぽい感じが強く、メモリアルはシューホールが6穴。2013年ものは7穴。メモリアルが昔っぽい、高さの無いアキレスディップなのに2013年ものは割と形のしっかりしたアキレスディップが採用されています。(これは1970年のコルテツ試作品と似ていますね)
あと、インソールにメモリアルはランニングマンがプリントされているのですが、そこにはアシックスのロゴが….オニツカじゃねーのか?!
他にはヒールの補強用の革のシルエットが違うとか(2013年ものの方が大きくとってある)ありますが、履き心地を大きく左右するソールの厚さが決定的。
そもそもコルテツ開発秘話としてビル・バウワーマンからクッション性の向上をリクエストされて16mmから24mmにソールを厚くしたというのにこの2005年メモリアルでは「現在では薄めが主流で、現代人の足にフィットするという理由で原型よりも若干薄くしてある」らしいです。それでメモリアルを名乗るのか、と。ちょっといただけません。
企画開発チームの方のコメントが「これは”復刻”ではなくて”復活”だから」との事ですが、詭弁にしか聞こえない…..
だったらアップデート版でもリリースしてそっちでやればいいじゃんと思うのですが。
でもまぁそういや2005年リリースのナイキの"Original”も3層から2層ソールに仕様変更してたもんなぁ….
それから8年経ってのこの物件。オニツカオフィシャルサイトでも
1969年アメリカで、オニツカ株式会社の米国販売代理店であったブルーリボンスポーツ社(BRS)のビル・バウアーマン博士の発案によって、それまでにないクッション性の高さと履き心地を実現したジョギングシューズが誕生。
もともとのデザインの良さに加えて新しい機能性を同時に叶えたシューズは、1970年代に世界中で巻き起こったジョギングブームの中心的存在となり、それまで競技用のギアでしかなかったスポーツシューズを、ライフスタイルに基づいたファッションアイテムへと昇華。
このエポックメイキングなアイテムは当初「CORTEZ(コルテッツ)」と名付けられました。
そして、1976年に「TIGER CORSAIR(タイガーコルセア)」と改名していきました。
当時の画期的な開発秘話として、当時のアメリカ人の体格に合わせた衝撃緩衝性が必要となり、踵部分のソールの厚みを16mmから24mmにすることでクッション性をアップさせました。
当時はアメリカのみ販売だったため、手に入れることも難しかったこのシューズ。2013年の今年、踵部分に24mmの厚みをもたせたクッション性の良さと、履き馴染みのよい靴型はそのままに発売しております。
誕生当時と同じく細身かつノーズの長いデザインは、まさに今季のファッションにもぴったりです。
と明記されているようにソールの厚さをオリジナルに戻しての”復刻”。嬉しい限りです。
ただ、この限定モデル。アキレスディップに1969の金文字刺繍&タンラベル(織りネームの下部)にTIGER CORSAIRの金文字刺繍。
これ、要らないよなぁ。カッコ悪い。ってか、1969の文字が悲しすぎる。
だって1969って刺繍するんだったらコルテツを名乗らなくちゃ。でもそれが裁判で負けて名乗れないわけで、で、コルセアとしてリリースされたんだからどうしても年号入れたいのなら1976にしたらいいのに。往生際悪くないですか?これって。
なので?ボクはナイロンアッパーのヴィンテージモデルを履く機会の方が多いです。普通にカッコイイ。ただ、ラストがカリフォルニアなどと比べると更に幅が狭いので折角スマートに仕上がってるモデルなのに履くとちょっとカッコ悪くなるのが申し訳ないです。
ボックスはカリフォルニアなどが梱包されるUNITY-M (ONITSUKA) R-4-3 360 x 210 x 120ではなくてUNITY-M (ONITSUKA) R-2-1 330 x 190 x 120という若干小さなサイズ。お品書きもフタの裏のマイクロパックもWASAOUROもない、なんだか珍しく愛の無いパッケージ。限定で出すんだからNike Air Tailwindみたいにオリジナルリリース当時のリーフレットとか同梱すればいいのに。そういうところでオタうぉぉぉぉぉ!となるのに。
タンラベルの裏には昔懐かしいお品書きも復刻。
ONITSUKA LINE
THE CHAMPION OF SPORTSHOES
THE ONITSUKA TIGERⓇ LINE SHOES ARE ONLY MANUFACTURED BY ASICS CORPORATION AND THE QUALITY IS GUARANTEED.
MADE IN VIETNAM.
タンラベル自体はナイロンなのですが、上部にレザーのパッチをあててそこにタンラベル、刺繍が入ってます。結構薄いです。こんな感じに。スポンジもナイキのコルテツ程入ってません。
インソールはMexico 66でも採用されていた、全体的にパンチング処理された生成り色の表地。ちなみにこのパンチング・パターンはナイロンアッパーのコルセア・リプロでは採用されていません。なぜ?
で、3週続いた一連の物件を並べてみました。これを見るとその型の特徴がわかるのでは。
そして十代の頃のレザースニーカーの思い出に一番近いのはこのコルセアの革。甲の形まできっちり作られていて、ナイロンアッパーとはやっぱり違うんだなぁと思ったあの頃の面影を一番思い起こさせてくれます。
お次はピンで。アディダスのGrand Prix Vintageも奇麗でしたが、これもなかなかのべっぴんさんぶり。
スニーカー自体はヴェトナム製。この古くさいニュアンスをよくぞ再現してくれました。本当いい仕事してます。