2013年年明けから驚いたこと。それはコルセアのリプロのリリースとこの物件。
コルセアはジョギングブームのきっかけを作った、スニーカーの歴史でも絶対試験問題に出そうなくらいの必須項目だと思うのですが、同時期にヨーロッパでリリースされたこれは?
どう見たってアシックスブランドで展開していそうなモデルなのにオニツカのタグが付いてる…..
不思議に思いまして購入しました。2013年1月時点で日本では販売はおろか、リリース告知も出ていなかったのでスイスのショップにオーダーしてます。お値段€115でした。今思えばちょっと高いような気もしますが、この時点ではまだまだ円高だったので、それほど割高な印象はなかったです。
とにかくこれ、やっぱりアシックスだよなぁ。Gel Lyte IIIで採用されている中央から二分割されているスプリットタンが採用されているし、ソールもSoLyte。天然素材を全く使っていないところもヴィンテージモデルとは一線を画してるし。アッパー全体はシンセティックヌバックです。一見本ヌバックっぽく見えるのはナイキと違ってポイント高し。
で、オニツカのオフィシャルサイトでようやくその理由が判明。
これまで、株式会社アシックスのスポーツファッションプロダクトは「オニツカタイガー」と「ASICS スポーツスタイル」が存在していました。2013年からは一部を除き、すべて「オニツカタイガー」ブランドへ統合します。
より今の時代に合ったプロダクトやイメージを発信することで、過去の価値観を再構築・新しい価値観を生み出しながら、オニツカタイガーならではの<current(いま)とfuture(これから)>を提案していきます。
2013年のテーマである<Discover +(ディスカバー プラス)>がどのように表現されるかご期待ください。
だそうです。その一発目ですね、きっとこれは。オニツカのアイコンであるコルセアと同時期にリリースするというのもこの意思の表れでしょう。なのでこれからはオニツカブランドでリリースされるからと言ってオールドスクールなプロダクトだけではないと頭に入れておかないと。
他に興味があったのでSoLyteの説明もアシックスのサイトから引用しました。以下、どうぞ。
Solyteは、アシックスの研究によって従来のミッドソールの約半分の重量を実現したミッドソール素材です。業界最軽量の素材で、アシックスの多くのトップモデルのシューズに使用されています。
Solyteという名前は造語で、その由来は次のような単語から命名しました。
「so light」(すごい軽い!)
「sol」“(太陽、エネルギー) + 「light」(軽い)
「sole + light」(軽いソール)
従来のミッドソール材料としては、加工性・物性や安価であることからEVA(エチレンビニルアセテート)がほとんどでした。そこで、EVAを使用せずにミッドソールを作ることができないかと考え、αオレフィン系ポリマーを使用することによりEVAでは得られない軽量化が実現できそうであることがわかりました。
しかし、強度の面で問題があり、他の熱可塑性エラストマーとのブレンドやスポンジ化の架橋発泡バランス調整、補強剤などを工夫することによって十分な物性強度を持ち従来の約半分の重量を実現することができました。
Solyte Polymerは従来の樹脂ソール材(ポリウレタン)に比べ、約30%の軽量化を実現した世界で初めての素材です。アシックスのサッカーシューズや野球のスパイクシューズなどに使用され、プロの選手のシューズにも使用されています。
従来の樹脂ソール材には、透明性や耐摩耗性に優れている事からポリウレタン樹脂が10年以上も使用されてきました。しかし、ポリウレタン樹脂は、耐摩耗性に優れる反面、比重が高く重いという問題があります。このため、樹脂ソールにおいては、長い間に渡って軽量化が望まれていたのですが、ウレタンと同程度の耐摩耗特性を有する軽量材料はなかなか開発されませんでした。
そこでウレタンに替わる新素材開発のため、まず、サッカーソールに要求される特性をさまざまな角度から分析しました。「走行時にはどの部分に圧力がかかっているのか?」「ソールの摩耗面状態はどうなっているのか?」
さらに「使用前後で摩耗によって材料はどのように変化しているのか?」などの分析を実施しました。これらの分析の結果、ソール樹脂材料には、砂などをはじく適度な弾力(弾性率)を有する必要がある事がわかりました。材料に弾力がないと砂など硬い異物で表面が傷つき、そこから摩耗が進行してしまいます。
さらに、使用時における材料温度の調査から、強度や弾性率の温度依存性を小さくする事で耐久性が向上することもわかりました。走行時には、摩擦熱により材料温度が高温になりますので、耐熱性が悪ければ耐摩耗性も低下します。
また、冬季の使用では材料の弾性が失われます。つまり、低温時や高温時などでも常に高いパフォーマンスを発揮させるため、材料の温度依存性(温度による材料特性の変化)を小さくしなければなりません。
これらの分析結果をもとにウレタンを全く使用しない素材開発を材料メーカーと共同で進めました。ベースポリマーに使用したのは、末端を変性したオレフィン樹脂です。このポリマーだけでは弾性・コスト・加工性に問題があるため、数種の特殊オレフィン材料のブレンドについて200通り以上について検討しました。
これらの研究の結果、ポリウレタン樹脂に比べて約30%も軽量で耐摩耗性や透明性について同等以上の性能を有するSolyte Polymerを開発することができました。
引用終わり。うーん、やっぱり新素材。ってか、名前はダジャレから来てるとは恐れ入りました。
多くのスニーカーで使われているEVAを安い素材と言いきってますけど、これって地雷踏んでるような気も。大丈夫?
ボックスはデザインこそいつものオニツカブランドですが、サイズが違って小さめ。UNITY-M(ONITSUKA)R-2-1330 x 190 x 120が使われてます。変わった物件ですが、いつも履くサイズでオーダー。問題ありませんでした。
生産はインドネシア。
今回の物件は黒ベースにライムカラーですが、同時にリリースされたのはグレイベースに、赤ソール、同素材のD3H3Y-1111。こちらも購入しています。
結論を先に言えば「いいぞ、これ」。
非常に面白い履き心地。目下ウォーキングで使用しているのですが、最初の2kmくらいまではインソールの感触が少し柔らかく、厚みのある硬めのゲルといったフィーリングが足の裏に伝わってきます。踏み込むと足の指の間にゲルが漏れて来るような、とにかく不思議。でも嫌じゃない。これが4km歩いて行くと馴染んで来るのか他のシューズと同じような感覚になってくるのですが。ルナロンのPre Montrealと併用しているのでソールの厚さはしょうがないとしても、この薄いSoLyteソールでも十分5-6kmのウォーキングに耐えてくれます。
その元になってるインソール。実際の数値ではさほど厚みは無いと思うのですが、触ると思ったより厚さを感じます。
で、オニツカブランドなんですが、このインソールにはASICSとエンボスされてます。
アッパーの素材はシンセティックヌバック。肌触りはナイキのフェルトとは違って、よく出来てます。安っぽさもありません。
トゥガードも同素材で補強されてます。しかも1時間のウォーキングでも全く蒸れないし。
アシックスストライプは型押しされてますが、均一感とテカり具合からシンセティックレザーでしょうか?
面白い処理なのはシューアイレット。アッパーと同素材の上にラミネートコーティングしているのです。恐らく耐久性を必要とする部分なのでラミネートして穴が無駄に広がるのを防いでいるのでしょう。凄いアイデア。
スプリット・タン。ボクは実は初めてなのですが、思った以上にフィット感というか、ホールド感がいいんですね。これ履いてみてニューヨーク界隈(東海岸)でGel Lyte IIIが売れているのがわかったような。特にコンスタントにリリースされる別注モデルなんて手に入れるの本当に難しいですもんね。eBayでチェックしてもなぜそこまで?の強気設定価格ばっかりだし。平気でリテールプライスの3倍くらいで売ろうとしてるのもなんともはやですが。それだけニーズもあるのか?って話ですが。
しかしちょっと遠目で見ると端正なブラックにライムカラーのアクセント。美しい。ミニマムにまとめた、非常に上品な物件。
ヨーロッパでリリースされてから半年経ちますが、未だに日本では販売無し。日本でも売れると思うんだけどなぁ。
オニツカはアジア、ヨーロッパ、アメリカのエリア事にラインナップを多少変えてますが、正直ボクは日本の商品展開にあんまり興味ないんです。単純に自分のサイズが無いというのと、好みの問題なんですが。大阪で生産されているmade in japanシリーズもいいんだけど、ベースがMexicoばっかりってのがどうも…
Black/Blacky